3 消防小屋の蛾(が)
 古里消防団の消防小屋は、今の遊園地の一角の一段下がって駐車場になっている東側あたりの(昔あった愛宕神社の参道の入り口の西側)一段高いところに旧県道に沿ってありました。
 この消防小屋の県道側に裸電球の外灯が点いていました。その周りは一晩中あかるかったので、夏の夜はいろいろな蛾がやってきて電球の周りが賑やかでした。そして、夜が白々と明ける頃になると、一晩中乱舞していた蛾が消防小屋の壁に羽を休めます。
 ですから、その頃に消防小屋に行くと、昨晩電球の明かりを求めて集まった大きい蛾、小さい蛾が、消防小屋の外灯のある壁面にびっしりと張り付いていました。見事という言葉以外に言葉が見つからないほどに、壁一面が素晴らしい蛾による絵模様に覆われていました。
 でも、不思議と日の昇る頃になると、知らぬ間にみんな姿を消していました。
 あれから50数年、いまだに消防小屋に張り付いていた蛾の思い出が頭から離れません。そして今、あの蛾などの子孫はどこへ行ってしまったのだろうかと思います。

 注 昭和28年(1953)の春からの天候不順による冷夏により、病害虫が大発生して水稲に著しい被害を与えました。そこで、それに対処するために農薬ホリドールによる水田散布が始まりましたが、その農薬散布の影響で蛾が少なくなったのかとも思われます。