8 からねこ
 からねこの名前の由来は、ネズミ捕り名人のねこが居なくても、小鳥などを取ることが出来る仕組みであることからだと勝手に解釈しています。
 昭和30年代中頃までは、農家はほとんど専業で農業に勤しんでいました。そして冬は今よりも寒かったので、大雪もたびたびあって雪の積もっている期間が長くありました。ですから、そのような時に小鳥たちは餌を見つけるのが大変でした。その小鳥たちの食べ物の欲求を利用して小鳥を捕獲しようとした仕掛けがからねこです。
 細い竹杭の中心部より下に釘を打ち、竹杭の先端をV字形に切り込み、そこに仕掛けた棒に糸を結び、その糸の先端に一寸ほどの細い篠棒を結んで釘に糸を引っ掛けて、先端の仕掛け棒に箕などの捕獲用具をかけてから竹杭と細い篠棒との間に細長い篠などを差し込んで奥の撒き餌のところまで伸ばします。
 そしてこの篠を啄ばんだり、触れたりして仕掛けが外れると、捕獲用具が落ちて小鳥などを閉じ込め捕獲できるという仕組みです。小学4〜5年生の頃、下の道に仕掛けておいたからねこに学校から帰ってくると、綺麗な鳥がかかっていた事がありました。そこで捕まえて、みんなに見せようと思って母屋の玄関のところまで来て、入り口を開けようとした時に逃げられてしまいました。その時の悔しさは、今も思い出として残っております。
 それに、冬になって雪が降ると、農家の仕事は納屋の中でむしろ織り、縄ない、いっそう(10本ぐらいの藁で注連飾りのような感じで半分より上をなった2本の先端を結び、わらなどを束ねるのに使う縄の代用品)作り、俵織りなどでした。
 そんな時、納屋のひさしの小鳥が来そうなところに、蚕用の竹籠などの上にむしろなどをかけて蓋をして、その上に重いものをのせて片側を持ち上げ、竹かごなどの大きさに合わせたつっかえ棒(つっかん棒)で支えます。そしてそのつっかえ棒の下のほうに紐を結わえて、紐の先端を子供たちは父母の傍らまで伸ばして身近に置いておきます。そして、籠などの下に出来た空間に籾殻などで撒き餌をします。
 雪で空腹に耐えかねた雀などが飛んできて、仕掛けの中の撒き餌を見つけて夢中になって啄ばみ始めたその瞬間を狙って子供は紐を引いてつっかん棒をはずします。つっかん棒をはずされた仕掛けは、小鳥の上に勢いよく倒れ、小鳥を下敷きにして捕獲するというものです。
 この仕掛けは、人間の手が加わっているので違う言い方だったような気もしますが、からねこと言ったような気もします。夢にでも出てきて思い出すことが出来れば判るのですが。
 いずれにしても、冬場、雪が降って子供たちが外に出て遊べないときに、餌を求める雀などを取るこんな方法を子供たちは楽しんでいました。