18 うさぎ
 昭和25年(1950)に勃発した朝鮮戦争の特殊需要などもあって、日本の経済も生活も著しいほどの向上、発展を遂げてきた昭和30年代に入った頃から、農村の生活も大きく変わり、燃し木を中心とした生活からガスや電気を利用した生活へと移ってゆきました。
 そして、農家のお嫁さんにも土木工事やゴルフ場でのキャディなどの副業仕事にありつける機会が出てきて、それなりに自由に出来る小遣いも出来てきました。
 しかし、それまでの農家のお嫁さんには、財布の紐は舅、姑が握っているので、自由に出来る小遣いはありませんでした。実家の親からもたった小遣いを使うのにも、気を使う状況でした。
 ですから、昭和20年代のお嫁さんの小遣いとしてりんご箱に金網を張ってうさぎ箱を作ったり、専用のうさぎ小屋を作ったりして、その中でうさぎを飼育し、大きくしたり子うさぎを生ましたりしました。そして、そのうさぎは、うさぎやと言われる仲買人があちらこちらに居て、子ウサギとして、また肉用として大きくなったうさぎを買いに来ました。何の小遣いも得られない若い嫁さんにとっては、とても貴重な小遣いでした。
 そのお金で子供に少しばかりのものを買ってやることが出来ました。と言っても、お嫁さんは家事から農作業までも行なわなければならない立場でした。
 そこで否応無く、うさぎの餌とする草とりは子供たちも手伝うこととなりました。学校から帰るとみかいかごを背負って、道路のあぜや桑畑の中に生えているうさぎの好みそうな草をとって帰りました。そして、うさぎの入った箱の中に入れてやると、美味しそうに食べるうさぎは、何とも愛らしい赤い目をしていました。
 うさぎの飼育は、姑さんにも、子供にも広がってゆきました。