私の子供の頃にも、養蚕組合などでの旅行や湯治(とうじ)などがあって、行ってきた人からお土産をいただきました。しかし、その頃のお土産は、旅行先のようかん1本が定番でした。
 そして、近所や親戚から旅行のお土産としてもらった1本のようかんが問題でした。
 今でも私が口癖のように言ってしまうのですが、私の家は12人家族のときが多かったので、一本のようかんを12等分に切ってみんなで平等にして食べました。
 目の前で母が均等に12個に切ってくれるのですが、微妙に大きさが違う気がして何時も大きいようかんに目をつけてしまいます。しかし私は5人兄弟です。我家ではなんだか年の若い順に取ってゆく決まりが出来ていたので、私の順番は5番目です。私の順番になる頃には、いつも私の意図するようかんはなくなっていました。
 そしていつの間にかようかんを見るたびに、ようかんを一本丸ごと食べることが夢になりました。
 私は未だに大きいようかんを一本丸ごと食べた記憶はありませんが、今では何時でも何処でもようかんを食べたければ、誰でもが何本でも食べられる裕福な時代となりました。
 ですから私も、好き勝手にようかんを好きなだけ食べて楽しめるようになりました。
 しかしようかんを見るたびに、その頃のことが思い出され、なんとも懐かしくなってついつい昔話が口をついて出てきてしまいます。
 この話は、死ぬまでお付き合いになると思います。
 葬式饅頭も同じ思いでいつも眺めていたのを書き添えます。